提携の話が煮詰まってくると、「まずはMOUから結びましょう」という話が出てきます。負担のない書類という認識がありますが、実際にはMOUのせいで他社との交渉が止まったり、損害賠償の話が出てきたりすることもあります。
結論から
MOUは**一般的に法的拘束力がないものとされますが、拘束力を決めるのはタイトルではなく内容です。**韓国の大法院(最高裁判所)も、文書の名称にかかわらず内容を見るという立場なので、「MOU」というタイトルの文書に具体的な義務が書かれていれば、契約のように拘束力が生じることがあります(シュガースクエア)。そのためMOUを結ぶときは、拘束力を持たせたい条項と持たせたくない条項を明確に分けて書くことが核心です。
MOUと契約書、何が違うのか
| 区分 | MOU(覚書・業務提携覚書) | 契約書 |
|---|---|---|
| 目的 | 協力の方向と意思の確認 | 具体的な権利と義務の確定 |
| 内容の水準 | 方向・範囲・スケジュール中心 | 代金・期間・責任などの具体的条件 |
| 拘束力 | 原則なし、内容によって生じうる | あり |
| 違反時 | 概ね損害賠償請求が難しい | 損害賠償・解除などの請求が可能 |
MOUは概ね本契約前の段階で互いの意思を確認する文書であり、細かい条件はその後の交渉で決めます(ブリッジコード)。
拘束力が生じやすい条項
公開されている解説を総合すると、以下の条項はMOUの中にあっても拘束力を持つ可能性が高いです。
- 秘密保持:ほとんどの場合、拘束力を持つとされます(ブリッジコード)。
- 独占交渉:一定期間、他社と交渉しないと決めたなら、実際に自社の他の交渉を縛ることがあります。
- 収益配分比率、損害賠償、本契約締結の期限:具体的な数字と期限があれば、契約と見なされる余地が大きくなります(シュガースクエア)。
反対に、情報交換の範囲、今後の交渉の方向やスケジュールのように方向だけを決める内容は、拘束力なしにしておくのが一般的です。
MOU締結前のチェックリスト
- 「本MOUは第○条(秘密保持)を除き法的拘束力を持たない」のように、拘束力の範囲を明記した
- 秘密保持条項の期間と範囲を書いた
- 独占交渉条項がある場合、期間と対象が自社の事業を過度に縛っていないか確認した
- 本契約締結の義務と読まれうる表現(「〜する」、期限)が意図と合っているか確認した
- MOUの有効期間と終了事由を書いた
- 法務チームのレビューを受けた
MOUも契約のように管理すべき理由
MOUは「拘束力がない」という理由で管理対象から漏れやすいものです。しかし秘密保持義務と独占交渉期間は、MOUが終わった後も残ることがあり、数年後に「あのときあの会社とのMOUに独占条項はあったか?」を確認しなければならない場面が出てきます。MOUも契約管理台帳に一緒に載せ、秘密保持・独占の期間を別の列に書いておいてください。様式は契約管理台帳のExcel様式にまとめました。
契約の多い会社なら、MOUと本契約、NDAを同じ相手方の下にまとめて履歴を残す契約管理システム(CLM)が役立ちます。PRIXは公開資料によると、契約履歴の追跡と更新通知の機能を案内しています(ベンチャースクエア)。
アルパカのまとめ
MOUは軽い書類ではなく、「軽く作れてしまう書類」です。署名前に、拘束力のある条項とない条項を1行で分けて書いておけば、後でもめることが大きく減ります。
🦙 リサーチャー・アルパカの調査ノートでした。この記事は一般的な情報の整理であり、個別案件の法律相談ではありません。間違っている内容やもっと知りたい点は、下の「Joshに連絡する」からお知らせください。
あわせて読みたい記事
出典
- MOU署名、法的リスク(シュガースクエア) — 名称より内容、大法院2005Da39594判決、拘束力が生じる条項
- 覚書(MOU)とは(ブリッジコード) — 一般的な拘束力、秘密保持条項
- PRIX、AIベースのCLM(ベンチャースクエア) — 履歴追跡、更新通知